2016年3月28日月曜日

感動が止まらない


週末、映画「あん」を借りて来てみました。

実家の父から進められていて、気になってはいたのですが、
何となく、魂えぐられそうなので、見るタイミングを伺っていたのです。

結果、魂えぐられるどころか、とんでもなく感動して、大好きな映画の1本になりました。
樹木希林&永瀬正敏以外、この役を演じられる人はいたのだろうか?というくらいの名演技!
フランス人大好きそうな河瀨直美監督の映像美。


ほんわか温かい、という言葉では足りないくらい、熱い思いが迸る作品。
とても悲しくて、でも少しだけ前に進もうと思える作品。

印象に残る映画はたくさんあっても、お気に入りになる映画は少ないものです。



樹木希林演じる、ハンセン病の元患者である徳江との交流によって、
ただ淡々と日々を送っていた雇われ店長の永瀬正敏がだんだんと変わっていく姿が面白い。

徳江が心を込めて作るあんこや、一生懸命働く姿を見て、
店長の心も、少しづつ柔らかくなっていく。

見えないものを見て、聞こえない音を聞いて、五感で生きている徳江に、
店長は心を動かされていくのです。


つまり、ハンセン病どうこうじゃなくて、徳江という、ただ一人の人間が生きる意味を教えてくれる。
だから、するりと心に染み入る作品になったんだろうなー。
きっと、ハンセン病の歴史や患者さんの苦しみがもろにテーマになっていたら、
知識がない私なんかは特に、「良い映画だった」なんて怖くて口に出せない。


そして、そんな徳江の心を映し出すかのような映像が本当にきれい。
冒頭の桜の花から、夏・秋へと季節が変わっていく日差しや風に揺れる木々。
小豆がぐつぐつ煮える音、色。
汗、手編みのざぶとん、厚手のコート。

セリフだけじゃなくて、映し出される情報で、五感が研ぎ澄まされてきます。
まさに、「見えないものを見て、、聞こえない音を聞く」映像です。

あー、世界ってきれいだなー。



徳江が店長さんに残して手紙の一文が今でも忘れられないよ。

「自分に非はないつもりで生きていても、無理解な世間に押しつぶされそうになる時があります。」



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